ロシアだけじゃなかったドイツのエネルギー問題

フローニンゲン産の天然ガスは、半世紀にわたり、国内での住宅用暖房や発電に用いられ、国内外の産業に電力を供給してきた。オランダ統計局によれば、オランダからドイツ、ベルギー、フランスに向けて輸出された天然ガスは、2000─2018年の期間で2020億ユーロ(約26兆5800億円)に相当する。

だが、ガスの採掘によってガス鉱床の上部の土地の安定性を損なうことは科学的に立証されている。前週、ガス生産を監視するオランダの国内団体は、生産量が低水準だとしても、ガスの採掘は安全性に欠ける住宅で暮らす人々にとって地震によるリスクを増大させていると警告した。


「大地震による家屋倒壊、あるいはストレスと不安により、フローニンゲン住民の死亡リスクが高まっている以上、安全のために、ガス生産からの段階的撤退と耐震補強の早急な実現が必要とされる状況は続く」と語るのは、オランダ鉱業監督庁で統括監察官を務めるテオドール・コッケルコレン氏。

オランダ政府は14日に発表した声明の中で、可能な限り早期、すなわち2023年か2024年にガス田を恒久的に閉鎖する目標に変わりはないと表明。ただし政府は、「ロシアによるウクライナ侵攻を一因とする」新たな不確実性のため、フローニンゲン産の天然ガスが最後の手段として必要とされる可能性があるとしている。

オランダ政府、そして国際石油メジャーのシェル、エクソンモービル両社による合弁企業であり、フローニンゲンガス田での生産を管理するオランダ石油会社(NAM)を相手に何年にもわたって展開された補償をめぐる紛争を経て、フローニンゲン住民の多くは増産に反対している。NAMはこの記事に向けたコメントを控えた。(ロイター)

「ドイツのロシア依存」っていうのはよく言われますが、しかしドイツが輸入する天然ガスは全てがロシア産ではなく、だいたい半分ぐらい。じゃあ他はどこから輸入してきたのか?っていうと、ノルウェーやオランダ。意外ですが、北海油田で有名なノルウェーはともかく、オランダからも天然ガスって採れるんです。しかし、この天然ガス採掘が地盤沈下を招くということで減産する方向なんだとか(関東の天然ガスも、同じような理由から採掘できない。一部の例外を除いて)。そうなると輸出余力もなくなって、当然ドイツも影響を受けると。ドイツはロシアからだけじゃなく、オランダからも天然ガスを輸入できなくなりつつあるんです。ドイツが輸入する天然ガスは、だいたい半分がロシア産、オランダ産は15~20%ぐらい、これだけの天然ガスが今後輸入できなくなりつつあると。

対策としては、ノルウェー産を輸入しつつ、あとはアルジェリアやエジプト、カタールアメリカ辺りからの輸入を強化するしかないでしょうね。リビアは政情不安、イランは核開発問題、アゼルバイジャンはロシアの影響力を考えれば、さほどあてにはできない。アメリカ産の天然ガスも、意外と早くピークが来るのではないか?っていう見方があるし、そもそもアメリカ自体がエネルギーの浪費国だし。

日本の場合は、オーストラリアが35~40%、マレーシアやカタールがそれぞれ10~15%、アメリカとロシアがそれぞれ7~8%、ブルネイパプアニューギニアがそれぞれ5%ぐらいっていう感じで、ヨーロッパのそれよりは依存は低いです。

ヨーロッパがロシア依存するのは、パイプラインさえ敷けば簡単に天然ガスが輸入できるから。しかしこれがアメリカになると、一度液化して船で運んでこなきゃならず、手間暇が掛かってその分高く付くんです。

で、ウクライナも今度はカナダを批判していますが、そもそも欧米諸国は、ウクライナNATOに迎え入れようとはしていないし、ノルドストリーム2を見れば分かるように、ウクライナはハブられてたんですよ。